登る峠の道標

ただいまお試し期間中

続・水道橋好き(東京一人散歩、上野〜御徒町)

前回続き〜
8月の終わり頃に酷暑の朝に東京を歩いた人間の話。
上野駅から銀座線に沿うように中央通りを秋葉原方向に歩きはじめた。朝の上野駅は人が少ない。繁華街からがお祭り終わった後の虚しさを感じた。壁に寄りかかって寝ているサラリーマンがいた。「お疲れさん。昨日はフィーバーしてたんだな」と心の中でつぶやく。朝から元気なフレッシュマンが寝男労働者の横を邪魔そうに通り抜けていく。
漫画喫茶があった。時刻も朝の6時を少し回っている。「暑いな〜中で涼んじゃおうかな〜」と思いつつも今日はなかなかに気持ちが強い。冷房・漫画の誘惑を振り切り歩を進めた。
御徒町。安酒が飲める。昔よく飲んだ場所である。アウトドアグッズをよく買った場所でもある。当時買えもしない高いグッズをウィンドウ越しにじっと眺めたりもしていた。どうやら店員さんに顔を覚えられいたようで、共通の友人を介して店員さんを紹介された時には嬉しい反面気恥ずかしくもあった。彼は同い年の登山家で世界の山々にまで飛び出していく登山界の新進気鋭のルーキーあった。
山に住む男と街中で出会う事はないだろうが、富士山の5合目辺りまで自転車でスーパーヒルクライムして登りもすれば再び出会えるような気もする。今彼に会ったら自分は何を言うのだろうか。結局、世界はおろか日本も満足に走れていない事を謝るのか。それとも、まだまだ諦めてはいないぞと勢いだけの虚勢を張るのか。それについて彼が何と答えるのか。
その答えが今の自分には欲しい。(続く)

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