登る峠の道標

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浅野忠信主演 酔いがさめたら、うちに帰ろう。感想

映画「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」を見た。色々考え事も多い今この時に見ることができてよかった作品であった。
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上記の映画の宣伝ポスターである家族4人が海をバックに手を繋いでいる写真を見て気付いたことがある。父を見上げる娘の首にはカメラ型のポシェットがかかっている。そして息子は父のほうではなく、自分の歩くその先を眺めている。拡大解釈だとは思うが、この写真の構図を見て映画を見た後に救われた気持ちになった。

戦場カメラマンを浅野忠信が演じるということもあり、他の作品であり失礼だとは思いつつも、地雷を踏んだらサヨウナラという作品の戦場カメラマンを思いだしながら鑑賞した。
正確に言えばこの作品での主人公は戦場カメラマンのその後ではあるが、今の浅野忠信演じる戦場カメラマンはあの頃を内包しつつも更に人間的な深みを感じた。20代の浅野が演じる戦場カメラマンとはまた一味違う、30代の浅野が演じるこのカメラマンをこの作品で見ることができたことは非常に有意義であった。

ある人物の自伝であるこの映画は決して幸福を描いた話ではない。だが絶望でもない。どん底での開き直った人間の力強さ、それを支える本当の意味での家族の絆がこの作品には確かに存在する。

劇中に流れる忌野清志郎の謡う「誇り高く生きよう」はアルコール依存症を克服し、家族の待つ家に帰ってきた本人と家族関係者への応援歌のごとく聞こえてきた。


酔いがさめたら、うちに帰ろう。そして、今までもこれからも誇り高く生きよう。この作品にはそんなメッセージがあるのではないだろうか。

再度この作品を見る機会があった際には劇中に出てくる夢の解釈と波打ち際で遊ぶ家族を眺めながら遠巻きに二人が見つめあった意味についてもう一度考えてみたい。

最後に唯一不満というか疑問を呈したい。なぜ、こういう映画をもっとたくさんの映画館で上映する事ができないのだろうか。久々に本当の映画を見せて貰った。
「不好意思」「多謝」('-'*)